あの加藤とあの課長*another side
「生渕さんまで! 珍しい組み合わせですねー。」



なんて朗らかに、そして呑気に言ってのけた。

俺たちは呆気に取られたまま加藤を見つめ、そしてそのまま、何事もなかったかのように振る舞った。


たぶん、風間も何かしら感じ取ったはずだ。


それにしても…、俺は今、何を言おうとした…?

口をついて出そうになった言葉を恐ろしく思い、思わず右手で口許を覆った。



『加藤に無理をさせないでくれないか、アイツにも限界がある。』



どうかしましたか? と首を傾げる加藤を放っておいて、俺は喫煙所に逃げ込んだ。

風間が俺を見る目が、まぶたの裏に焼き付いて離れない。



『加藤を大事にしてくれ。それができないなら…』



「くそっ…。」



乱暴に扉を閉めて、煙草を取り出すと、それに火をつけて思いきり吸い込んだ。



『それができないなら、俺が貰う。』



馬鹿げたことを、口走りそうになった。
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