あの加藤とあの課長*another side
「加藤!」



あれから数日が経ったある日のこと。


加藤にプレゼンを頼んだはいいが、顔色がすこぶる悪い。心配になって資料室まで追いかけてみればこれだ。

倒れそうになった加藤を支えたはいいものの、思ったよりも調子が悪そうだ。



「あと2時間、頑張れ。」



定時には帰るように促して、一足先にオフィスに戻った。

そして、隣の加藤のデスクに戻ってくる途中で買った栄養ドリンクと、切らすことなく鞄に入っていたチョコレートを置いた。



『疲れてるときは1番はチョコなんだよね、私の場合。』



そんな、加藤の言葉を思い出しながら。


(…まさか。)

切らすことなく鞄に入れていたものの、出番はないだろうと思っていたのに。

1番あげたかった人に、こうしてあげることができる日が来ようとはな…。
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