あの加藤とあの課長*another side
あれから1週間。


今日、加藤は商品企画部の奴と取引先へと向かっていた。なぜ加藤が呼ばれたかは、全く分からない。

おかげで今日は、隣が空いていて変な気分だ。


そんなことを思いながら、外回りのために外へと出た。


会社へと戻る途中、ふと近所のレストランに目を向けると、加藤を見つけた。

その向かいには、男。やたらと親しそうで、終いには、加藤の口元についていたらしい食べ物を取ると、そのまま口に放り込んだ。



(なんだ、あれは。)



会社に加藤が戻って来て、給湯室に入ったのを見つけると、そこへ向かう。



「加藤。」



溜め息を吐いていた加藤に声を掛けると、「課長もいりますか?」なんて呑気なことを言う。



「誰だ、あの男。」



単刀直入に訊くと、なんでもないように答える加藤。

終いには、なぜか笑い始める。



「安心してください。」

「は?」

「あれはお兄ちゃんです、お兄ちゃん。」

「あ、兄貴?」



動揺する俺に、楽しそうに続ける。



「双子なんですよ。二卵性なんで似てないんですけどね。」

「……。」



「悪い。」と謝るも、「何がですか?」なんて返してくる。
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