あの加藤とあの課長*another side
怒っている様子はなく、むしろ楽しそうだ。

勘違いもショックだが…。



(これはバレてるな…。)



何より、嫉妬がバレていることがショックでならない。

本当に楽しそうな加藤は、鼻唄を歌いながらコーヒーを淹れ始めた。



「いつまでも笑ってるな。」



ウエストに腕を回して抱きすくめれば、「ふ、ふひゃ!」なんて変な声がする。

それが可笑しくて、つい笑いが漏れる。



「コーヒー…。」



そういえば、コイツは飲めないのに。



「課長の分です。飲むでしょ?」



そう言う加藤が可愛くて、愛おしくて。



「はー…、やばいな。」

「何がですか?」

「なんでもない。」



そう言いながら、加藤の肩口に額を付ける。


あれ以来、暇を見つけてはこうして加藤にくっついて、2人の時間を作っている。


少しでも、俺に気持ちが向けば良いと思いながら。

だがいつもいつも、俺ばかりが惹かれているようでならない。



一緒にいればいるほど、どんどん惹かれていく…。
< 33 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop