あの加藤とあの課長*another side
社食に行くと、すでに彼女は来ていた。



「源ぇ。源は何食べるのぉ?」



今日も彼女はピ ンクもりもり。


商品開発部の彼女はスーツであることに変わりはないものの、俺ら営業部に比べてかなりラフな格好をしている。

おかげで個性が目立つんだが…。



「…決めてない。」



(なんで俺はコイツと付き合っているんだ。)


正直、早く別れたくて堪らなかった。

だけど、俺は自分から振ることはしないと決めているから、相手が振ってくれるのを待つしかない。



「もー。源って本当何考えてるのか全然分かんなぁい。」



腕を組んで頬を膨らませてみせる彼女に、冷たい視線しか送れない俺はただの最低な奴だ。


この台詞を彼女に言われるのは、確かこれで3度目だ。

(ということはそろそろか…。)



「…面倒臭ぇ。」

「え?」

「…いや、なんでも。」



とそのとき、後ろから、彼女の声が聞こえた。



「晋ちゃんと直人は何にするの?」

「僕は唐揚げ定食。陽萌は?」
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