あの加藤とあの課長*another side
∟大切な君へ
―――
―――――
山の中腹当たりまできた頃、俺は突然脇へと逸れた。
「え、本当にどこ行くの?」
てっきり山頂から夜景とかだと思っていたらしい陽萌は、その驚きを隠すこともせずに声を上げた。
「内緒。」
そう笑うと、諦めたのか口を閉ざしてしまった。
長い回想に浸ってしまったが、俺からしてみればほんの序の口で、その苦労は序の口なんてもんじゃなかったというのが正直なところだ。
「到着。」
目的地に到着し車を降りると、未だ助手席に座ったままの陽萌は、不安そうにきょろきょろと辺りを見回していた。
助手席を開け、「おいで。」と呼ぶと、「ずるい。」と文句を言いながら、陽萌が車を降りた。
この場所は、社長が迷惑をかけたお詫びにと教えてくれた場所だ。
そう伝えると、陽萌は不思議そうに俺を見上げている。
あの後、謝罪をしたいからと社長室に呼ばれた俺は、社長に結婚はしないのかと問われた。
丁度タイミングが巡ってきたように思っていた俺がその旨を伝えると、社長はここを教えてくれたのだ。
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山の中腹当たりまできた頃、俺は突然脇へと逸れた。
「え、本当にどこ行くの?」
てっきり山頂から夜景とかだと思っていたらしい陽萌は、その驚きを隠すこともせずに声を上げた。
「内緒。」
そう笑うと、諦めたのか口を閉ざしてしまった。
長い回想に浸ってしまったが、俺からしてみればほんの序の口で、その苦労は序の口なんてもんじゃなかったというのが正直なところだ。
「到着。」
目的地に到着し車を降りると、未だ助手席に座ったままの陽萌は、不安そうにきょろきょろと辺りを見回していた。
助手席を開け、「おいで。」と呼ぶと、「ずるい。」と文句を言いながら、陽萌が車を降りた。
この場所は、社長が迷惑をかけたお詫びにと教えてくれた場所だ。
そう伝えると、陽萌は不思議そうに俺を見上げている。
あの後、謝罪をしたいからと社長室に呼ばれた俺は、社長に結婚はしないのかと問われた。
丁度タイミングが巡ってきたように思っていた俺がその旨を伝えると、社長はここを教えてくれたのだ。