あの加藤とあの課長*another side
「…陽萌。」
電飾の明かりに照らされたその顔は、出会った頃と変わらぬまま。
むしろより一層、その魅力を高めたように思う。
「俺と、結婚してくれ。」
陽萌の手を握る手に、力を込める。
「……源…。」
俺の手を、必死に握り返すその小さな手が愛おしい。
「は、い…っ。」
俺の目を真っ直ぐに見て、そう言ってくれた。
けれどすぐに、パッと俯いてしまう。
そしてボロボロと涙を零しているのが見えた。
いつも注意し続けた甲斐あってか、唇は噛んでいなかった。
「よろしく、お願いしますっ…。」
顔を上げて、そう言ってくれた陽萌。
安堵なのか、愛しさなのか、隠しきれない喜びなのか。思い切り顔が綻んでしまう。
そっとその左手を持ち上げて、左手の薬指に指輪をはめる。
泣き虫な陽萌は、その指輪を見て、より一層涙を流した。
「こちらこそ、よろしく。」
見つめ合って、照れたように笑い合って。
触れるだけのキスをして。
すごく、幸せだと、漠然と思った。
俺はお前に出会って変わった。
お前も俺に出会って変わったと、そう感じていればいいと、思った。
-完
電飾の明かりに照らされたその顔は、出会った頃と変わらぬまま。
むしろより一層、その魅力を高めたように思う。
「俺と、結婚してくれ。」
陽萌の手を握る手に、力を込める。
「……源…。」
俺の手を、必死に握り返すその小さな手が愛おしい。
「は、い…っ。」
俺の目を真っ直ぐに見て、そう言ってくれた。
けれどすぐに、パッと俯いてしまう。
そしてボロボロと涙を零しているのが見えた。
いつも注意し続けた甲斐あってか、唇は噛んでいなかった。
「よろしく、お願いしますっ…。」
顔を上げて、そう言ってくれた陽萌。
安堵なのか、愛しさなのか、隠しきれない喜びなのか。思い切り顔が綻んでしまう。
そっとその左手を持ち上げて、左手の薬指に指輪をはめる。
泣き虫な陽萌は、その指輪を見て、より一層涙を流した。
「こちらこそ、よろしく。」
見つめ合って、照れたように笑い合って。
触れるだけのキスをして。
すごく、幸せだと、漠然と思った。
俺はお前に出会って変わった。
お前も俺に出会って変わったと、そう感じていればいいと、思った。
-完