あの加藤とあの課長*another side
本社に上がってわずか1年でここまで昇ったのは、加藤と俺くらいなもんだろう。

俺も本社に上がって1年で係長補佐になった。それから2年で係長になって、今年で3年が経った。


風当たりが強いことも勿論あるが、それでもやってこれたのは上司に恵まれたからだと思う。

今度は俺の番だ。


……とはいえ、加藤に対しては、やり過ぎであるのは否めないけれど。



「ふぅ…。」



誰もいない自宅のベッドの上で独り、大きな溜め息を吐いた。


認めざるを得ないだろう、これはもう。

立てた片膝に腕をのせて、窓の外に目を向けた。煌々と輝く満月が憎い。


アイツもこの満月を見ているんだろうか、なんて。

考えてしまう辺り、もう重症だ。きっと自分で思うよりずっと、俺はアイツのことが…。



「気になってるんだろう…な…。」



気になってるなんて言い方をしたのは、せめてもの抗い。無駄な、抵抗だ。
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