あの加藤とあの課長*SS集
無理なんかじゃない。
だけど…、見送りに、来てほしくないのよ。

分かる?

この、大人の事情が。


源はまだ分かってくれそうだけど、陽萌の場合、分かってくれないでしょうね。



「はいはい、さっさと仕事に戻んなさい。」

「また来るからね!」

「はいはい。」



もうすぐ、アメリカに発つ日が、やって来る。

オカマとしての幸せとか、正直そんなのもうどうでもいいくらいなのに。


そのくらい……、惚れてるのね、アタシ。


嵐の後の空は快晴。
雲1つない、青空が広がる。

嵐の後の救護室は、とっても静か。


その静寂が、実はいつも寂しかったりもする。


自分で望んで、やっと手に入れた場所のはずなのに。

どうしてこうも、孤独を感じてしまうのか。



答えはいつも、驚くほど簡単だったりする。




『ねぇ源、あの子でしょ? アンタが狙ってんの。』



社食でご飯を食べながらそう尋ねると、唐突すぎたのか、驚いたらしい源は少しむせた。



『…お前、そういうことこんな所ででかい声で言うか? 普通…。』

『あら、今カノに聞かれちゃ不味いから?』

『…全部ひっくるめて、だ。』
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