あの加藤とあの課長*SS集
「あ、すみません、ありがとうございます。」

「あぁ。」



僕はといえば、やっぱり相変わらず係長で。広報部の増田ちゃんからは、相変わらずのアプローチを受けていて。

特別変わったことなんてない。



「陽萌に会いたいなー…。」



陽萌は出産を機に産休に入っているため、しばらく会えていない。

そろそろ産んで1年になるはずだから、戻ってくるのを今か今かと待っている状況だ。



「遊びに来ればいい、陽萌も喜ぶ。」

「いやぁ…。」



愛の巣に踏み込もうなんて、今の僕にはまだ無理な相談だ。



「……すごく不躾なことを訊いてもいいですか?」

「なんだ。」

「課長って、陽萌のどこが好きなんですか?」



そう尋ねると、課長は目を見開いて固まってしまった。



「どこが……か…。」



運ばれてきたビールを少し飲んでから、考え込むように言った。
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