あの加藤とあの課長*SS集
「陽萌はどこをとっても魅力的な女だ。でも、だからってわけじゃない。」



課長の言いたいことは、なんとなく分かる。


陽萌は外見中身どこをとっても魅力的だけど、だから好きになったんじゃない。

一緒にいて居心地が良くて、もっと一緒に居たいと思わせるような…、そんな感じがある。



「全部引っくるめて好きなんだけどな、何だろうな…。強いて言えば、直感とかフィーリングとか…かもな。」

「なんとなく分かりますよ、それ。」



そう笑うと、課長も軽く笑い返してくれた。

その笑顔があんまりにも優しかったから、男なのにこっちまで照れてしまいそうになる。



「お前はどうなんだ? 今泉。」

「僕もそんな感じです。」

「本社に上がってきた当初からか?」

「……そうですね。」



まさか旦那相手に、こんな話をする羽目になろうとは。



「本社に上がった頃、僕らは直人と3人でいることが多かったんですよ。」
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