あの加藤とあの課長*SS集
「あの、いえ、その。」

「?」

「この店舗の立て直し、よろしくお願いします。元はと言えば、私がちゃんとしてなかったのが悪いんですけど…。」



眉をハの字に垂らして微笑んだ。

(あー、なんか、分かったかも。)


早速仕事に取りかかり、店員の皆と話す彼女を見ながら、思わず溜め息を吐いた。


あの子、可愛い系な上にはっきりしないって言うか、押しが弱いって言うか。

だから周りに嘗められちゃってんだな…。



「話してないでさっさと準備!」



陽萌とは、大違いのタイプだ。




『セクハラされた!?』



驚いて思わず大声で叫んだ俺に、至って冷静に「うん。」と言う陽萌。

俺の家だったことに安心したのは言うまでもない。



『商品企画部の部長さん。』

『マジかよ…。』

『うん。いきなりお尻触ってくるから、ビンタしちゃった。』



うふふと笑う。

正当防衛ではあるけど、それをやってのけた陽萌はすごい女だと思った。



『やだよー、セクハラは。』

『…今度なんかあったら言えよ。』

『へ? あぁ…、うん?』

『…お前が他の奴に触られんのとか、虫酸が走る。っつか俺以外に触らせないで。』
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