あの加藤とあの課長*SS集
それ以来、俺は図書館に通うようになった。

何しにって、年も名前も知らない彼女に会うために。


また会いたいって、会うたび会うたび思わされるから不思議なもんだ。


でも、会えるのは大抵3回に1回。だからこそ、会えた日はめちゃくちゃ嬉しい。


そんなんだから「付き合い悪い!」と女からは関係を切られまくった。

正直助かったのは内緒。


けど、ある日知ってしまったんだ。



「あっ!」



学食に向かう途中、彼女を見つけた。

図書館以外で彼女を見かけるのは初めてで、俺は一緒にいた友達の背中を叩いた。



「あの子だよ!」

「んー? …げっ、マジかよ湊…。」

「なんだよ。」

「悪いことは言わねーからあの子は止めとけ。」

「は?」

「……あの子は…。」
< 4 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop