あの加藤とあの課長*SS集
そんなある日のお昼、例の先輩と社食に来ていた。



「思ったより長く続いてんじゃない!」

「はぁ…。」



この人は、加藤さんのことを、知らないんだろうか。

正確には、源さんの加藤さんに対する想いを、だけど…。



「…先輩。」

「ん!?」

「加藤さんって、知ってます…よね?」

「んあぁ、加藤 陽萌?」

「はい。」



やっぱり、知ってたか。

水を流し込みながら、思わず消沈する。



「あ、もしかして、加藤さんに敵対心燃やしてんのー?」



ケタケタ笑いながら言うもんだから、私の考えに気が付いたもんだと思った。

だけど、そうではなかったようで。



「だーいじょうぶ、あの人、生渕課長よりは節操ある…と思うし、今彼氏いるし!」

「でも…。」

「ただの仕事のパートナーよ? 気にすることはないわよ、加藤さんは生渕課長に興味ないし。」



そんなこと、分かってる。

でも…、もしも、源さんが加藤さんを本気で求めにかかったら?


そんなこと、すぐに覆ってしまう。



「第一生渕課長も興味ないんじゃないの? 加藤さんには。」

「そうですか…?」

「あったらとっくに手出してるでしょ。それより、今日新歓会なんでしょ!? 楽しんできなさいよー!」



がははと笑う先輩を横目に、私は溜め息を吐いた。
< 46 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop