あの加藤とあの課長*SS集
そんなこんなで迎えた新歓会。

加藤さんの隣に座っていた今泉さんは、先輩たちにガブガブと飲まされていた。



「そっち飲んでるー?」



なんて言って、加藤さんが逃げてきた。

見たところ、今泉さんは加藤さんを庇って飲まされている。本当に、守られてばかり。



「なんですかあれ。」



魂胆は分かるとはいえ、その状況は異様なものにしか見えなくて、そう漏らした。

すると、加藤さんは笑って言った。



「まあ、誰かが憎まれ役にならないとね。」



憎まれ役…?

きょとんとすると、加藤さんは優しく笑って続けた。



「課長に聞いたの。」



あ、源さんのことか…。そういえば、先輩たちが源さんの悪口を言っていたような。

それより、私、加藤さんにあんなに嫌がらせしたのに…。



「でもまあ、課長は特別だよね。」

「え?」

「聞いてなって。」



するといつの間にか、源さんの悪口は誉め言葉へと方向を変えていた。



「ほらねっ?」



なんだ、もう。
この人、すごくいい人じゃない。

気付けば顔を綻ばせていた。
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