あの加藤とあの課長*SS集
「あ、そうだ、増田ちゃん!」

「なんですか?」



増田ちゃん? と首を傾げながら返事をする私に、加藤さんは遠慮なく抱きついてきた。

え、何?



「これからよろしくねー!」

「……はぁ。」



混乱した私を気に止めることなく、加藤さんは言葉を続けた。



「うちの部署女の子少ないからさ、私寂しくて! 皆寿退社とかしちゃうし。」



と不貞腐れながら言う。

何この人、超可愛い。というか、親しみやすいし。超いい人。



「だから、よろしくね!」



なんだか敵対心を燃やしていた自分が馬鹿馬鹿しく思えてきた。

「はい。」と笑って言うと、加藤さんも嬉しそうに笑った。


けどその直後、加藤さんが間違えて日本酒を飲んでしまって。

口直しに渡した私のカルピスサワーが後押ししたらしく。



「……ふぇ…。」

「…まさか。」



この人、超お酒弱い!?

急いで今泉さんを呼びに行った。


それで今泉さんにずっと庇われてたんだ…!

なんだか、私の勝手な思い違いで申し訳ないことしたなあ…。


今泉さんに事情を話して加藤さんの元に戻ると、加藤さんは今泉さんにそのまま抱き着いた。


それを抱き止める今泉さんの自然な流れに、相思相愛なのかななんて思ったり。
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