あの加藤とあの課長*SS集
11月中旬、加藤さんの大坂出向が決まった。

何があったのかはよく知らないけど、私の知らないところで何かがあったらしい。


内示でしかないけど、あの人事部の先輩が教えてくれた。


一方の加藤さんはと言えば、源さんこと、課長と仲良くやっているようで。

ストーカー事件のときはヒヤッとしたけど、あれを機に距離が縮まったんだと課長に聞いて、結果オーライだと思ったり。




「なんかあれなんだよねー、僕の入る隙なし。」



目の前の彼はパスタを頬張りながら不貞腐れたように言う。

彼は長年彼女の1番側にいたもんだから、きっと課長が邪魔くらいに思えるんだろう。



「あの一件以来、加藤さんも課長にちゃんと気持ち伝えたみたいですし、まさに相思相愛状態ですもんね。」

「増田ちゃん…思いやりはどこへ…。」

「私課長はふっ切れましたから、もういいんです。幸せそうならそれで。」



ドリアを頬張りながらそう答える。

ホワイトソースとチーズのバランスが絶妙でとても美味しい。



「今泉さんこそ、そろそろ次へ進んだらどうですか?」



そう言うと、彼はピクリとフォークを握った指を動かした。
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