あの加藤とあの課長*SS集
「簡単に言ってくれるよねぇ…。」



ジロリと私を睨む彼、今泉さん。


最近、今泉さんに誘われてこうしてよく夕飯を一緒に摂っている。

主に今泉さんの愚痴を聞いてる感じだけど。


最初のうちは私を慰めるというか、傷の舐め合いだったんだけど。

私がふっ切れてしまった今は、今泉さんがひたすらグチグチしてる。



「だってー、好きなもんは好きじゃん、そう簡単に踏ん切りつかないって。」

「案外いけるもんですよ。」



水を煽りながら言うと、今泉さんは少し項垂れてしまった。

そんな私は実は最近、気になる人がいる。



「まーまだ若いんですから!」

「僕もう27だわ…。」

「あ、そっか、加藤さんって短大出かあ。」

「そうだよ…。」

「でもほら、課長なんて31だし。」

「……そうだね。」



そう言って再び沈む今泉さん。

まるで、僕は31歳に負けたんだとでも言いたげな雰囲気だ。


(しまった……。)



「増田ちゃんはまだ23だもんねー、若っ。」

「んー…、そうですねえ。」



加藤さんとは2歳差、今泉さんとは4歳差。
課長に至っては8歳差。

私、やたら若く思えるな…。
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