あの加藤とあの課長*SS集
「……アンタは?」



顔を上げると、真っ直ぐに俺を見る瞳と目が合った。



「…俺は……。」



本気…何か?

ガンタみたいに惚れやすいわけでもないから恋愛の経験自体は多くはないけれど、そういう経験なら割とある。


本気…何か?



「…分からへん。」

「はぁあ!?」



俺の言葉に反応したのは、煌じゃなくてガンタだった。



「遊びじゃないとは、言い切れるんやけど。」

「けど?」

「…本気か言うたら、分からん。」



遊びじゃないと言ったら、それは本気ということになるのが一般的。

だけど、俺の場合それじゃ済まない。


一応、この学校の頭的ポジションにいるわけだから、いろんな意味でそれなりにリスクがあるわけで。

それに巻き込んで、守り通す。
その決意が、俺の本気。


もはやそれを成し遂げるだけの自信があるかないか、という域。



「ちょっかい出してるだけなら、止めてもらえます?」



不意に低く威圧的になったその声に、目を細めた。



「陽萌は、昔っから女の恨みを買いやすいんです。陽萌に非があるわけじゃない。ただの嫉妬や妬みだ。」
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