あの加藤とあの課長*SS集
次の日の昼休み、俺は屋上に寝転んで空を見上げていた。



「気持ちええなぁ…。」



今日は天気がええし、日向ぼっこに最適や。

そんなことを思いながら空を仰いで、その青さに少しげんなりした。


この真っ青な空を見ていると、自分の悩みがちっぽけに思えてならない。

(俺なりに、真剣な悩みなんやけどなぁ。)


目を閉じると、太陽の光で瞼の裏がチカチカする。



「眩しい…。」



そんな俺の耳に、ドアが開く音が聞こえた。

けれどそれを気にも留めなかった。


大抵、俺がいるのを見つけたらビビってどっか行く。


そんな妙な自信を胸に、俺は目を開けすらしなかった。

けれど、その足音はこちらに向かってくる。



(ガンタか…?)


その辺だったらそれはそれで面倒臭いと思って、そのまま放っておいた。



「あの……?」



けれど、俺に掛けられた声は、女のもので。



「隣、いいですか?」



遠慮がちに掛けられた言葉に目を開けば、俺を見下ろす陽萌がいた。



「って! お前、びしょ濡れやんか!」



ギョッとして飛び起きると、陽萌を凝視した。

驚いたらしくそのまま硬直してしまった陽萌は、言葉通りビショビショで。


髪や制服から水を滴らせていた。
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