あの加藤とあの課長*SS集
「別に煌じゃなくたって、俺がいたる。お前を、守ったる。」



そう言えば、空を見上げた陽萌は、フワリ柔らかく笑った。

嬉しそうな声で、空に叫んだ。



「ありがとーっ。」



ふふっと笑いながら、俺をその視界の隅に入れる。



「何だか、心強いです。」

「そうか?」

「うん。」



よく分からないなと首を傾げながら、俺は瞼を下した。



その後、自然と陽萌と行動を共にする機会が増えた俺は、ドンドン陽萌に惹かれていった。


最初は妹のような存在。
だけど、妹とは少し違う。

側にいたくて、いてほしくて。



「恵也、バイク、後ろ乗せて!」



いつしか陽萌も俺をそう呼び捨てするようになり。



「落ちんなよ。」

「やったー!」



そうやって2人で過ごす時間がかけがえのないものになっていった。


俺の後ろに乗るのが好きらしかった陽萌と、海やら山やら、いろんな所に行った。


学生で金もそんなにない俺たちは、ガソリン代がためにバイトをして、給油の際は割り勘したりして。

いらないっつったのに、受け取らないと口すらきいてくれないときた。


困った頑固者だ。
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