あの加藤とあの課長*SS集
そんな陽萌は同級生、先輩問わず、女に呼び出しをされることが多くて。



「陽萌、大丈夫やったか?」



そんな陽萌を助けるのが、いつしか当たり前になっていた。

まぁその内容が俺だったり、煌だったりしたもんだから、当たり前っちゃあ当たり前だけど。



「大丈夫だけど…、髪の毛切られちゃった。」



毛先を摘まんで悲しそうに笑う陽萌。


陽萌のことを考えたら、離れた方がいいのかもしれない。

だけど、離れられない、離れたくない。
俺が、守ればいい。



「あんらー、また派手にやられたなぁ。」



陽萌と陽萌行きつけの美容室に行けば、おばちゃんにはそう笑われ。



「恵也ー、ちゃんと守ってやらなアカンよ?」

「…あぁ。」



完全な俺の力不足だった。

だけど、そんな俺を、いつも笑って許す陽萌。



「ただの私の不注意だから。」



許すどころか、全部自分で溜め込む。

そんな陽萌の強さと、自分の非力さが悔しかった。そんな、高校生活ラストの1年だった。
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