飛ばない蝶は、花束の中に
小さな頃、大きな家だと思ったけれど、大きくなった今も。
ようやく着いて見上げた家は、やっぱり大きいと、思った。
だけど。
なんだか、違和感がある。
門扉は、元々ない。
敷地内ギリギリの所のコンクリートが両サイド、綺麗に10cm幅で1mくらい、切り取られていた。
それだけなら良いんだけど……
向日葵が。
……真ん中に大きくひとつ咲くはずの向日葵が何故か、枝分かれをしているのか、たくさん、たくさん。
小さな花を、咲かせていた。
「…誰、が?」
タカノ?
いや、絶対に違う。
私はその向日葵を、睨みつけるように見つめる。
お兄ちゃんが、花を好きだなんて、聞いたことはない。
私の誕生日に、ひらひらと薄い花びらで、良い匂いのするピンクの花束をくれたりはしたけれど。
お兄ちゃんが、植えた?
…そんなわけ、ない。