飛ばない蝶は、花束の中に
どうしよう。
どうしよう!
ごめんなさい、ごめんなさいお兄ちゃん!
こんななるなんて、知らなかった!
こんな……おかしな事になるなんて!
雅は。
心配して、恐る恐る声を掛けてきた、その赤い髪の奴らに。
確かに激しい恐怖を抱いたはずなのに。
「触らないで!」
そう、びっくりするくらいの鋭い叫びを、上げた。
私を、背に隠すようにして。
「……ぁ…ごめんなさい…大丈夫、です」
我に返ったのか、雅はすぐに彼等に謝ったけれど。
気分を害するのは当たり前。
それでもきっと彼等は、見かけはチャラチャラとしているけど優しいのだろう。
大丈夫なら、いいけど、と。
無理に手を出さずに、やや苦い顔で、離れていった。