飛ばない蝶は、花束の中に
鏡に映った私たちは、本当に似ている。
母親が違うなんて、思えないほどだ。
ぎゅっと。
剥がされないように抱きつく私を、もしかしたらお兄ちゃんは面倒だと感じたのかも知れない。
そのまま、私を抱えるように少し持ち上げると、“雅”の後ろを通って、リビングの椅子に座らされた。
「重くなったな」
「…失礼ね!」
くく、とようやく笑ったお兄ちゃんが。
前に持ち上げた時は、まだ子供だった、と。
私の頭を、撫でた。
「どうぞ」
“雅”が、銅色のトレイに、綺麗な氷の浮いた薄赤い飲み物と、さっき見た、クリーム色の…プリン?を2つずつ、置いた。
「……………」
ありがとうと、言う気にはなれなかったけど、本当に言わないとなると、ちょっと……気まずい、かな?