飛ばない蝶は、花束の中に
「お兄ちゃん!私悪くない!!!」
「…そうだな。鷹野が悪い」
「全面的に、鷹野さんが悪いです」
「…だって背中赤かったから」
「鷹野さんの馬鹿」
ぷいっと顔を背けた“雅”は、何故か私を抱き締めるように、“タカノ”から引き離した。
ソファーから、テーブルに移動させられて尚、“雅”は私を離さない。
左頬を撫でる“タカノ”は、ちょうど出てきたお兄ちゃんにも冷たく切り捨てられ、“雅”にもそっぽを向かれ、納得いかない顔をしているけれど。
「……下着外したわけでもないのに」
目は面白そうに、笑っていた。
「……ごめん、ね?」
謝ったのは“雅”。
私を抱き締める腕をほどいた“雅”は、ようやく背中のチャックを、そっと上げた。