I got a love!?~私が恋に落ちたら~
ハァー....
先に沈黙を破ったのは新垣だった。
「あのさあの時は...本当に助かったよ。」
「え!あ、あぁ。大したことないよ。」
あれれれ?
ウンコの話は無し....か
よし。このまま触れずに....!!
「それと、あのー...踏んだ件」
ぬぁにぃい!?
自ら触れてきやがった。
私だってその後の救助まではできなかったからこその判断だったんだから。
逆恨みされても困るって。
「ええと......」
しどろもどろになりながら目を泳がせていると、
「誰にも言ってないよな?」
かなり真剣な表情で新垣は言った。
「え?言ってないよ。」
新垣は白い歯を見せて笑みを浮かべると、ホッと胸を撫で下ろした。
「良かったー。転校生でクソの噂とかなったらイヤだろ。」
あー、そんなことか。
私が逃げたことについては何も言わないだろうな。
「もし、バレてたら??」
「バレてたら、コイツに見捨てられたってみんなに言いふらしてたかな。」
にこり。浅黒の肌に白い歯が際立つ。
「慣れない土地で困ってる転校生助けなかった子とその転校生。とりあえず俺の学校の居場所は作れるわけで、あんたには犠牲になってもらってたかな。ははっ」
はい───!?
その発言
爽やかな笑顔と口調でカモフラージュできるレベルじゃないし。
超腹黒じゃん....
超腹黒天然残念君じゃん!
「は、はは...そうなんだ。」
顔をひきつらせていると、
新垣は
「冗談だよ。なぁ、俺のこと見るたびにギョっとすんのやめろよ。結構傷付くんだからな、アレ。あの時のこと気にしてるなら、もういいから。」
ゲゲ。
バレてた。
「バレてないとでも思ってたのかよ。」
はい。思ってました。
私はニッコリごまかし笑いでうなずいた。
「バレバレだし...それとも、何?」
新垣はズイっと私の方に身を乗り出してきた。
その距離
20センチ..10センチ.....5センチ....
そして耳元で囁いた。
「それとも、俺のこと好きになった、とか。」
近い近い近い
血が顔に昇ってくのはっきり感じる。
何これ?何この状況!!
私はギュッと目をつむった。
「タァーーーンマ!タンマ!あのさまだ名前言ってなかったよね!古堅(ふるげん)まちこ!あっもうカネ鳴るから、行くわ!じゃあね!」
弁当をガッと掴んで逃げるようにその場を後にした。
「えーまだ時間あるよ」
という天然悪魔の声を無視して。