Endless holiday
「とにかく俺は帰る」


一騎は自分の荷物を持つと、すがってくる杏奈を振り払って部屋から出る。


「おい待てよ!」
「待ってカズくん! 行かないで!」


杏奈の泣きそうな声に後ろ髪を引かれる思いだったけど、こんなことはおかし過ぎる。


このままじゃいけないという気がしてならないのだ。


もしかしたら、これで杏奈に嫌われてしまうかもしれない。

そう思うと、決心が揺らぐけど、昨夜眠る前に散々悩んで決断したのだ。


もし目が覚めて、また2日目だったなら、ここを出ていったん自宅に戻ろうと……。


ところがホテルを出たものの、タクシーも停まっていないし、バス停もどこだか分からない。


もしかしたら車で帰る人がいるかもしれないので、ヒッチハイクを申し出ようかと思ったけど、駐車場の車は全て雪に埋まっている状態。

タクシーを呼ぼうにも、携帯電話は圏外だった。
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