君しかいらない~クールな上司の独占欲(上)
「大丈夫だ、大塚さんのプレゼンはどこも問題なかった、よくできていた」
言葉ほどに優しい表情でもなく、いつもの仏頂面。
だけどその言葉は、すっかり心細くなっていた私を安心させてくれた。
「向こうは慎重になってるだけだ。これまでの流れを考えたら、仕方ない」
「…そうでしょうか」
「大丈夫だ、今回の提案は通る」
やけにきっぱりと言いきる。
「どうしてわかるんですか」
「俺の勘だ」
勘って。
せめて、プレゼンに手応えを感じたとか言ってくれればいいのに…。
「けっこう当たるんだ」
脚を組んで、余裕の表情でこともなげに言う。
彼は一度腕時計に目をやると、電話をかけはじめた。
本当に、何も不安視していないみたいだ。
どこから来るんだろう、その自信。