君しかいらない~クールな上司の独占欲(上)
「お待たせしました」
やがて本間さんが戻ってきた。
思わず椅子から立ちあがると、新庄さんも合わせて腰を上げる。
「いただいた案でいきましょう」
本間さんがにっこりと笑った。
やった…やった!
「ありがとうございます!」
「いやこちらこそ、時間のない中、これだけの提案をありがとうございました」
そう言うと、本間さんは新庄さんに向き直った。
「新庄さんにも、ご迷惑をおかけしました」
いえ、と新庄さんが首を振る。
「正直、こんなに早くご提案をいただけるとは思わなかったんですよ」
「御社のご不安も理解していますので」
「月内にいただければ御の字と思い、そうお願いしたのに、本当に助かりました」
舞い上がっていた私は、そのやりとりに耳を疑った。
やられた…。
どうりで、異常なほどタイトな修正スケジュールだと思ったら、そういうことだったのか。