君しかいらない~クールな上司の独占欲(上)
ちょっと垂れ気味の大きな目が、綺麗な顔をかわいらしい雰囲気にまとめている。

唇はぽってりとしていて、いかにも男が好きそうな感じだ。


どちらかというと硬派な新庄さんと、あまりお似合いって気はしないけど…。



『元カノ登場~』



シーバーから流れてきた課長の声に、ぎくっとした。



『え、なんですか、ほんとですか、それ』

『新庄くん、仕事中なんだからほどほどにね!』



林田さん、高木さんたちが便乗し、無線上が大騒ぎになる。

課長の揶揄に、新庄さんの応えはない。



「お待たせしました」



そこに新庄さんが戻ってきた。

イヤホンを外して、首にかけている。

これじゃシーバーのやりとりは聞こえない。



『あれ、怒っちゃった? 新庄くん?』

「チーフ、シーバー外してます」



小声でそう伝えると、課長はうれしそうにええーっと声をあげた。



『そうだよねー、元カノとの話、邪魔されたくないもんね!』



あれ、なんで私、胸が痛いんだ。



「すみません、お呼び立てして」



秘書はさっと立ち上がって、新庄さんを控え室の外へと促す。


ボディタッチ、多いんじゃない?

なんとなくおもしろくない気分でいると、新庄さんが振り向いた。



「すぐ終わるから、そのまま食ってていいぞ」



はい、と応える前に、ふたりはドアの向こうへ消えた。


…今のはもしかして、堀越さんへのけん制?

どういうこと?

どういう関係?

< 49 / 126 >

この作品をシェア

pagetop