君しかいらない~クールな上司の独占欲(上)
狭い給湯室はふたり入るといっぱいで、動けるスペースがほとんどない。
さらに逃がすまいとでもするように、新庄さんがシンクの縁に手をついて、私を見下ろした。
「私…」
「疲れが取れていないなら、出てくるな。今日は急ぎの仕事もないだろう」
「…そんなに、わかりますか?」
「さあ、ほかは気づいていないかもしれないけど」
そんなことどうでもいいだろ、と吐き捨てる。
新庄さんだけが、気づいてくれたんだろうか。
ゆうべ、ひとりで耐えるしかなかった恐怖と心細さと、一晩中緊張していた疲れとで、もう限界で、新庄さんの顔を見つめているうち、涙がこぼれた。
「大塚…」
新庄さんが目を見開く。
いたたまれなくなって私は下を向いた。
職場で泣くなんて、みっともない。
許せない。
今声を出したら、情けなく震えるに決まっていたから、なにも言えなかった。
唇がわななくのを隠したくて、両手で顔を覆うと、新庄さんが手首を取って、それをはずさせる。
「話せ」
覗き込む顔は心配そうで、私の両手首をつかむ手は、優しい。
さらに逃がすまいとでもするように、新庄さんがシンクの縁に手をついて、私を見下ろした。
「私…」
「疲れが取れていないなら、出てくるな。今日は急ぎの仕事もないだろう」
「…そんなに、わかりますか?」
「さあ、ほかは気づいていないかもしれないけど」
そんなことどうでもいいだろ、と吐き捨てる。
新庄さんだけが、気づいてくれたんだろうか。
ゆうべ、ひとりで耐えるしかなかった恐怖と心細さと、一晩中緊張していた疲れとで、もう限界で、新庄さんの顔を見つめているうち、涙がこぼれた。
「大塚…」
新庄さんが目を見開く。
いたたまれなくなって私は下を向いた。
職場で泣くなんて、みっともない。
許せない。
今声を出したら、情けなく震えるに決まっていたから、なにも言えなかった。
唇がわななくのを隠したくて、両手で顔を覆うと、新庄さんが手首を取って、それをはずさせる。
「話せ」
覗き込む顔は心配そうで、私の両手首をつかむ手は、優しい。