君しかいらない~クールな上司の独占欲(上)
「了解しました」
ほかになにを言えるだろう。
なぜなら彼の顔に、できないとは言わせないと書いてあるからであり、そんなの無理と言ってみたところで、始まらないからである。
「よろしく」
にこりともせず言い放つ間に、手はもう次の仕事を始めている。
鬼め…。
「それから、この企画」
修正要望を睨むように熟読しながら立ち去りかけたところに、声がかかった。
「はい」
「今回の修正でかなりきつくなるから、軌道に乗るまで俺がサポートに入る」
…はい、と応えた声には、我ながら動揺が表れていたと思う。
つまり当分の間、新庄さんとふたり体制になるってことだ。
もちろん心強いし、純粋にスケジュールも優しくなるし、できることも増えるだろう。
けど、それ以前に…怖い。