君しかいらない~クールな上司の独占欲(上)
そうしているうちに、開けた場所で車が駐車スペースに入った。
「着いたぜ、一度降りよう」
降りてすぐに、私は声をあげた。
「わあ、壮観!」
頭上で、巨大な橋が優雅にライトアップされている。
夜だからか、埠頭という立地のせいか、風がだいぶ強まっていた。
首に巻いていたストールを広げてくるまる。
この風の中、新庄さんは器用に煙草に火をつけて、おいしそうに吸っては煙の筋を吐き出している。
完全に、デートコースだな。
恋人同士みたい、なんて浮かれた発想はさすがにないけれど、こういう場所に男の人と来るのは、やっぱりドキドキして楽しい。
新庄さんはと見ると、フロントタイヤの横にしゃがんで車をチェックしていた。
そばに寄って彼の見ている辺りに目を凝らすと、ボディに筋状のへこみができている。
サイドミラーの下だ。
「昼間の光だと、わからないんだよな」
ため息をつきながら立ち上がる。
駐車場のライトで見つけたらしい。
傷んだ箇所をじっと見ながら、無言で煙草をふかす。
腹を立てているのか悲しんでいるのか、表情がなくて、今は心の中が読めない。
「新庄さんって、なにを考えているかわからないときがあります」
ん、とこちらを見る顔は、少しばつが悪そうだった。
「よく言われる」
「彼女にですか」
思いきって水を向けてみると、意外にも新庄さんはこだわりなくうなずいた。
「そう。『なに考えてるかわからない』『冷たい』が、2大別れの台詞だな」
指を折りながら、無頓着に語る。
2大って…いったい何人いたんだ。
「着いたぜ、一度降りよう」
降りてすぐに、私は声をあげた。
「わあ、壮観!」
頭上で、巨大な橋が優雅にライトアップされている。
夜だからか、埠頭という立地のせいか、風がだいぶ強まっていた。
首に巻いていたストールを広げてくるまる。
この風の中、新庄さんは器用に煙草に火をつけて、おいしそうに吸っては煙の筋を吐き出している。
完全に、デートコースだな。
恋人同士みたい、なんて浮かれた発想はさすがにないけれど、こういう場所に男の人と来るのは、やっぱりドキドキして楽しい。
新庄さんはと見ると、フロントタイヤの横にしゃがんで車をチェックしていた。
そばに寄って彼の見ている辺りに目を凝らすと、ボディに筋状のへこみができている。
サイドミラーの下だ。
「昼間の光だと、わからないんだよな」
ため息をつきながら立ち上がる。
駐車場のライトで見つけたらしい。
傷んだ箇所をじっと見ながら、無言で煙草をふかす。
腹を立てているのか悲しんでいるのか、表情がなくて、今は心の中が読めない。
「新庄さんって、なにを考えているかわからないときがあります」
ん、とこちらを見る顔は、少しばつが悪そうだった。
「よく言われる」
「彼女にですか」
思いきって水を向けてみると、意外にも新庄さんはこだわりなくうなずいた。
「そう。『なに考えてるかわからない』『冷たい』が、2大別れの台詞だな」
指を折りながら、無頓着に語る。
2大って…いったい何人いたんだ。