うな金
そうか。
これが魑魅魍魎というのか。
鰻の残骸が、おぞましく広がっている。
もう一度、ドブに戻る時間はない。
これを、これをなんとか形にしなくては。
それから一時間、めぐみはガンバりました。
夫のため。
息子のため。
娘のため。
私のため。
ガンバりました。
え?なにか二つ抜ける?
気のせいではないでしょうか?
とにもかくにも、年に一度の[うな金]オープンでございます‼
「いらっしゃいませ」
「ただいまー‼」
定時に帰ってきた夫。
鼻をクンクンし、私を見つめ、満面の笑みを浮かべました。
「いらっしゃいませ」
娘が真似る。
「ただいまー‼」
兄を出迎えのだ。
はにかみを浮かべた、ニキビ面の息子。
呼ばなくてもやってきた、舅&姑も、今日ばかりは嬉しそう。
私はみんなの前に一つづつ、並べた。
桶を。