カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―
モノクローム
*
「阿部さん。これなんですけど、発送した方がいいですか?」
今日も営業先を廻り、カランカラン、と商品(ペン)が足りていないところを補充する。
神野さんが、まだ封をしてない小さなダンボールを指さして言った。
「経理から降りてくる返品伝票待ちなんですけど」
「このくらいの量なら、今日私がこのまま持って帰るわ」
「わかりました。じゃあ、伝票来たら、また声掛けますね」
私にそう告げると、パタパタと忙しそうにバックヤードへと行ってしまった。
裏の在庫棚の足元に置かれてある、そのダンボールを覗き込むようにして屈んだ。
新しいインクや、デザイン変更が目まぐるしくされていくのだから、仕方ないわよね。
こうしてだんだんと、古いものから新しいものに入れ替わっていくんだから。
おもむろに掬い取った数本のペンを、てのひらからコロコロと転がして、ダンボールの中へと戻す。
カシャン、と最後の一本がペンの山に吸い込まれて行ったときに、その間から覗く色に目が奪われた。
目を見開いて、数秒止まる。
それからガシャガシャと、少し乱暴に箱の中を弄(まさぐ)った。
――――うそ。このペンも廃番だったの……?!
色とりどりの軸から見つけたペンの色は――ライトブルー。
数本の同じペンを輪ゴムで束ねられているものを、そっと手にした。
明るく、透き通ったような青(ブルー)。
「阿部さん。これなんですけど、発送した方がいいですか?」
今日も営業先を廻り、カランカラン、と商品(ペン)が足りていないところを補充する。
神野さんが、まだ封をしてない小さなダンボールを指さして言った。
「経理から降りてくる返品伝票待ちなんですけど」
「このくらいの量なら、今日私がこのまま持って帰るわ」
「わかりました。じゃあ、伝票来たら、また声掛けますね」
私にそう告げると、パタパタと忙しそうにバックヤードへと行ってしまった。
裏の在庫棚の足元に置かれてある、そのダンボールを覗き込むようにして屈んだ。
新しいインクや、デザイン変更が目まぐるしくされていくのだから、仕方ないわよね。
こうしてだんだんと、古いものから新しいものに入れ替わっていくんだから。
おもむろに掬い取った数本のペンを、てのひらからコロコロと転がして、ダンボールの中へと戻す。
カシャン、と最後の一本がペンの山に吸い込まれて行ったときに、その間から覗く色に目が奪われた。
目を見開いて、数秒止まる。
それからガシャガシャと、少し乱暴に箱の中を弄(まさぐ)った。
――――うそ。このペンも廃番だったの……?!
色とりどりの軸から見つけたペンの色は――ライトブルー。
数本の同じペンを輪ゴムで束ねられているものを、そっと手にした。
明るく、透き通ったような青(ブルー)。