カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―
アンティークゴールド
side 本庄要
*
最近は日にちや時間の感覚がない。今日は何日で、あれからどのくらい経ったんだ?
……あの日、起きたら美雪は居なかった。
その理由はいくつも想像できて、だけど結局は想像だけで、真実はわからない。
酔った勢いだったことに嫌悪感を抱いてしまったか、心の内を晒したことで居られなく思ったのか。
その相手がオレということに後悔してる、か。
色々と考えたのちに、携帯を手にとったオレは、【美雪】と表示されたディスプレイを見るだけで、その先に進めなかった。
――ある、些細な過去を思い出してしまって。
大きな窓から射し込んでいた夕陽が落ちていくのを眺める。
アンティークゴールドの空を見て、連想したのはあいつだ。
神宮寺さん(かれ)の存在が、彼女をそうさせたのか――。
喫茶店で遭遇して、内心穏やかではなかった。
頭の中をいっぱいにさせてる相手との不意な再会の喜びと、その横に彼女の手を握る男の姿を見てしまったんだから。
でも、彼は正直、美雪の彼氏ではないとみてる。
“今ンとこは”――。
それは彼もそう言ってた。
手元のまっさらな紙を見ては思い浮かべる。
ああ、美雪に会いたいな。
捕まえられそうで、捕まえられない手は、一度彼女の温もりを知ってしまえば余計にもどかしい。
前にしたように、飄々と電話を掛けてみようか。
だけど、オレから連絡をすれば、その瞬間が最後になるんじゃないのか――本当のオレはこんなにもまだ臆病で、本気で欲しいときに動けなくなる。
最近は日にちや時間の感覚がない。今日は何日で、あれからどのくらい経ったんだ?
……あの日、起きたら美雪は居なかった。
その理由はいくつも想像できて、だけど結局は想像だけで、真実はわからない。
酔った勢いだったことに嫌悪感を抱いてしまったか、心の内を晒したことで居られなく思ったのか。
その相手がオレということに後悔してる、か。
色々と考えたのちに、携帯を手にとったオレは、【美雪】と表示されたディスプレイを見るだけで、その先に進めなかった。
――ある、些細な過去を思い出してしまって。
大きな窓から射し込んでいた夕陽が落ちていくのを眺める。
アンティークゴールドの空を見て、連想したのはあいつだ。
神宮寺さん(かれ)の存在が、彼女をそうさせたのか――。
喫茶店で遭遇して、内心穏やかではなかった。
頭の中をいっぱいにさせてる相手との不意な再会の喜びと、その横に彼女の手を握る男の姿を見てしまったんだから。
でも、彼は正直、美雪の彼氏ではないとみてる。
“今ンとこは”――。
それは彼もそう言ってた。
手元のまっさらな紙を見ては思い浮かべる。
ああ、美雪に会いたいな。
捕まえられそうで、捕まえられない手は、一度彼女の温もりを知ってしまえば余計にもどかしい。
前にしたように、飄々と電話を掛けてみようか。
だけど、オレから連絡をすれば、その瞬間が最後になるんじゃないのか――本当のオレはこんなにもまだ臆病で、本気で欲しいときに動けなくなる。