カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―
グレイ
side 神宮司匠
*
――そろそろ時間だな。
腕時計を見て時間を確認すると、作業途中の画面を保存してパソコンを閉じた。
約束の時間は午後3時30分。
カジュアルな服装や話し方の、ビジネスほど堅苦しくない彼だけど、時間の管理はきちんとしてるようだった。
それを踏まえて、俺は15分程度早くにエントランスに向かうことにした。
企画ではまだまだ下っ端みたいなもんだから、せめてこういう接客染みたこととかで周りに貢献しなきゃな……。
周りにひとこと出迎えに行く旨を伝えると、そのままこっそりと喫煙ルームに寄り道をした。
タバコを咥えて火を点ける。
一口目は、大きくゆっくり吸い込むのが、俺のリラックス方法のひとつ。
細く長く、今度は吐き出すと、中央に設置されている換気装置が、その淀んだ白……グレーにも似た煙を飲みこんでいった。
タバコ。そろそろやめた方がいいんだよなぁ。
ぶっちゃけいいことなんかいっこもねぇしな……。金はなくなるし、こうして時間もなくなるし。体に悪いし、臭いはつくし、女には基本、嫌がられるし。
もう一口は短く吸い込んで、「ふっ」とすぐに吐く。
きっと、阿部はこういうのを『無駄なこと』とかって考えそうだな。
ゆらりと立ちのぼっては吸い込まれていく煙を見て、阿部を思い出しては笑った。
今まで付き合ってきた中には、喫煙を咎めるような相手もいたけどな。
でも、決まって聞き流しては、禁煙までには至らなかったけど。
「……あいつはそういうの、絶対許してくんなさそ」
ふ、と一人で笑いをこぼすと、まだ長いタバコを灰皿に押しつけて喫煙ルームを出た。
――そろそろ時間だな。
腕時計を見て時間を確認すると、作業途中の画面を保存してパソコンを閉じた。
約束の時間は午後3時30分。
カジュアルな服装や話し方の、ビジネスほど堅苦しくない彼だけど、時間の管理はきちんとしてるようだった。
それを踏まえて、俺は15分程度早くにエントランスに向かうことにした。
企画ではまだまだ下っ端みたいなもんだから、せめてこういう接客染みたこととかで周りに貢献しなきゃな……。
周りにひとこと出迎えに行く旨を伝えると、そのままこっそりと喫煙ルームに寄り道をした。
タバコを咥えて火を点ける。
一口目は、大きくゆっくり吸い込むのが、俺のリラックス方法のひとつ。
細く長く、今度は吐き出すと、中央に設置されている換気装置が、その淀んだ白……グレーにも似た煙を飲みこんでいった。
タバコ。そろそろやめた方がいいんだよなぁ。
ぶっちゃけいいことなんかいっこもねぇしな……。金はなくなるし、こうして時間もなくなるし。体に悪いし、臭いはつくし、女には基本、嫌がられるし。
もう一口は短く吸い込んで、「ふっ」とすぐに吐く。
きっと、阿部はこういうのを『無駄なこと』とかって考えそうだな。
ゆらりと立ちのぼっては吸い込まれていく煙を見て、阿部を思い出しては笑った。
今まで付き合ってきた中には、喫煙を咎めるような相手もいたけどな。
でも、決まって聞き流しては、禁煙までには至らなかったけど。
「……あいつはそういうの、絶対許してくんなさそ」
ふ、と一人で笑いをこぼすと、まだ長いタバコを灰皿に押しつけて喫煙ルームを出た。