カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―

もたもたしてるうちに、先に口を開いたのは要で。
また、自分だけが出遅れてる、と変に慌ててしまった私は、うまく言葉を選べない。


「あ、『会いに』……っていうか……」


素直に「うん」って言えばいい。


「その……神宮司さん、が……」


そうじゃない。そうじゃないでしょ――。


「なんか、よく、わかんなくて……」


会うのが怖かった。でも、会いたかったと、今、実感したから……。


「上手く言えないんだけど」


今日の階段のときのように、また突き放される?
それともあれは、ただの思い過ごしだったら……。


「私、きっと要が」
「“カナ”? お客さん?」


私の決死の告白に、どこからか中断させるタイミングで声が聞こえてきた。

その声のする方に視線を向けると、ひょこっと要の奥からその犯人が顔を覗かせる。
誰かがいたということ自体に驚いたけど、それがさらに“女の子”ということで、私の頭は真っ白。


「こんばんはー。カナ、上がってもらえばいいのに」
「ああ……」


チェリーピンクのシュシュで横に纏めた髪。それよりも発色のいい唇が目に入る。
そのまま鼻筋を辿って見て、わかるのは大きな黒目の瞳に、長い睫毛。


――いままで会ってきた中で、とびきり可愛い子。



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