カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―
思いつくまま、とにかく前へ。
ふと思い浮かんだのは、あの喫茶店。
軽く息を切らして店先で立ち止まる。
「……そりゃそうよね……」
目の前にあるのは【close】と書かれた看板と、格子越しに見える電気の消えた店内。
薄暗い店内の奥に見えるカウンターに、あの日のことを思い出す。
今、自分の手の中にあるオレンジブラウンのボールペン。
生意気なヤツだと感じながらも、どこか惹かれ始めたのはあのときから。
くるりと踵を返し、再び歩き出す。
思い当たる場所……私の知ってるのはあと一箇所だけ。
そのラストワンに懸けて、月明かりの夜道を走り出す。