カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―
「歳下だし、安定するような職業でもないし、顔は女の私より綺麗に見えるって嫌味だし。性格もチャラチャラしてる――――って、そう思ってた」
外見や、数回言葉を交わしただけで、そう決めつけてた。
人を見る目が私にはないのかもしれない。
ドアの手前で、私はこれ以上ないくらいに深く頭を下げて言う。
「――ごめんなさい。勝手な偶像で、あなたの名誉を無駄に傷つけるようなことを……そして、利用した……」
上手くいかない自分を卑下して、輝いてる場所に当たり前のようにいられるんだと思ってた要に嫉妬して。
だけど、与えられたものが温かすぎて、それも素直に全部受け止めきれなくて。
「それは違うよ」
「……違わないでしょ」
「『利用された』だなんて思ってない」
下げたままの頭の上から聞こえた声。俯いた視界には、靴も履かないままの彼の足が目の前にあった。
「……そう思ってくれただけで、救われるわ。こんなこと、余計に都合がいいって思うでしょうけど……あなたと触れあって、仕事も休日も、目に映るものがなんだかカラフルになった気がするの」
白黒の私の心に、色彩をくれたのは、確かに要だと思うから。
31年間、こんな体験させてくれた人なんて当然初めてで。
だから――。