カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―
「あ。その顔は、信じてない?」
「……『信じてない』っていうか……理由としてはイマイチ説得力がないっていうか……」
自分のことを棚に上げて、どの口がそんなことを言うのよ。
そんな自分への指摘をしたって、いつも通り、言ってしまったあと。
すると突然、流暢に要が言葉を繋げていく。
「顔が好み。スタイルもいい。努力する姿勢も好感が持てる。ちょっとキツイものの言い方も、怒った顔も好き。ああ、泣き顔なんて堪らなかったけど」
その内容に唖然としながらも、ひとつひとつ思い返すとさっきとは比べ物にならないくらいに恥ずかしい。
耳まで赤くしてなにも言えずにいる私に、要は信じられないことを口にした。
「抱かれてるときの表情も、声も最高」
「ば、バカじゃないのっ……」
「美雪も思わなかった?」
「人が真面目、に……っ?!」
思わず手を上げてしまいそうな私の手を、要のすらりとした手が阻む。
そして、指を絡ませるように重ねた手を、きゅ、と握った。
「だって、一緒じゃない? こうしたときの、ドキドキ感」
そう言った要の顔は、いつの間にか真剣。
併せられた右手から、なんとなく要の緊張感みたいなものを感じ取る。
きっと、飄々として見せてたって、私と同じように悩んだり、勇気を出したりしてるはず。