カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―
*
神宮司さんと電話を終えた私は、さっきまでのような軽い足取りではなくなっていた。
「はぁ……」
自然と漏れてしまう溜め息。
なんで私が。なんでこんなところに。ああ、神宮司さんからの電話、気付かなければよかった。そうしたら今頃、社に戻って――もう、スケジュール修正不可能。
肩を落とし、夕陽の色に染まったアスファルトに目を落とす。
自分の影が長く伸びているその先にある建物を見上げて、もう一度息を吐く。
携帯をカバンから取り出して、受信メールボックスを開き、神宮司さんからのメールを確認した。
……ここで間違いなさそうね。それにしても……眩しい。
片眼を細めて手のひらをかざし、再びそのグレーの建物と向き合う。
ほとんどがガラス張りになっているために、夕陽をもろに反射させてるのだ。
入口らしきドアが正面から見て、見つからない。
少し角度をつけて建物に近づくと、3段くらい下る階段の先に、ひっそりとドアが待ち受けていた。
「んっ、重い……」
高さのあるドアを押しあけると、中は太陽の光の力でものすごく暑い。
まるでサウナにでもいるような暑さに、せっかく夕方の風で涼んでいたのに、一気に汗をかきそうになる。
「なに、ここ。変わった造りね……」
入ってすぐに、二手に分かれる階段。その中間にあたる壁に、よく見たら矢印とアルファベット。
左がA、B。右がC、D。
神宮司さんのメールには、【3D】と書いてあった。それを思い出して、私は迷わず右の階段を昇り始める。
段差が高めの階段を昇るには、この高めのヒールじゃちょっと厳しい。しかも手すりというものもない。
でも、『おつかい』はもうすぐそこ。
神宮司さんと電話を終えた私は、さっきまでのような軽い足取りではなくなっていた。
「はぁ……」
自然と漏れてしまう溜め息。
なんで私が。なんでこんなところに。ああ、神宮司さんからの電話、気付かなければよかった。そうしたら今頃、社に戻って――もう、スケジュール修正不可能。
肩を落とし、夕陽の色に染まったアスファルトに目を落とす。
自分の影が長く伸びているその先にある建物を見上げて、もう一度息を吐く。
携帯をカバンから取り出して、受信メールボックスを開き、神宮司さんからのメールを確認した。
……ここで間違いなさそうね。それにしても……眩しい。
片眼を細めて手のひらをかざし、再びそのグレーの建物と向き合う。
ほとんどがガラス張りになっているために、夕陽をもろに反射させてるのだ。
入口らしきドアが正面から見て、見つからない。
少し角度をつけて建物に近づくと、3段くらい下る階段の先に、ひっそりとドアが待ち受けていた。
「んっ、重い……」
高さのあるドアを押しあけると、中は太陽の光の力でものすごく暑い。
まるでサウナにでもいるような暑さに、せっかく夕方の風で涼んでいたのに、一気に汗をかきそうになる。
「なに、ここ。変わった造りね……」
入ってすぐに、二手に分かれる階段。その中間にあたる壁に、よく見たら矢印とアルファベット。
左がA、B。右がC、D。
神宮司さんのメールには、【3D】と書いてあった。それを思い出して、私は迷わず右の階段を昇り始める。
段差が高めの階段を昇るには、この高めのヒールじゃちょっと厳しい。しかも手すりというものもない。
でも、『おつかい』はもうすぐそこ。