カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―
その晴れない気持ちのまま、ちゃんと自分の足は自宅に戻っていて、アパート前で足を止めて郵便ポストを開けた。
落ちるときはとことん落ちるようで。
届けられていた郵便物の中に、実家からわざわざ転送してきた封筒を見つけて嫌な予感がする。
部屋に入ってすぐに、レターオープナーで封筒を開けると、一通のハガキが入っていた。
「……小学校の同窓会、ね」
パンプスを脱いで、リビングへと向かう途中にハガキの詳細を確認して呟いた。
【N小学校第36期生、同窓会案内のお知らせ】と表題にミント色で書かれているのだけちらっと流し見して、テーブルに伏せて置く。
もう卒業してから約20年、か。
小学校のいい思い出なんてなんにもない。
あの頃からの友達なんていないし、卒業アルバムだって、一度だけパラパラっと見て、実家の押し入れに押し込んだまま。
上着を脱いでハンガーに掛けると、そのテーブルの前に腰を下ろした。
いつもの癖で、白いノートパソコンを立ち上げる。
パソコンの隣にあるハガキに目を奪われると、勝手に当時の僅かな記憶が蘇る。
今の自分とは違う、昔の自分。
劣等感しかなかったんじゃないか、というくらい、自信のない女の子。
カバンの口からのぞく、廃番資料が視界に入って胸が少し締めつけられる。
その痛みは気のせいだと思いたくて、私はハガキをごみ箱に放り込んだ。