カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―

きっと、ずっと欲しかった。

『周りは関係ない。きみはきみだよ』と。
『頑張るきみも、だめなきみも、必要としてるひとがいるよ』って。


泣くのを堪えてる私を、優しい瞳で見て微笑んだ。


「その綺麗な顔で泣くのをみてみたい」


すでに潤んでいた瞳から、一筋の光が零れ落ちる。
一粒流れてしまったら、あとはもう簡単で。

ぽろぽろと、とめどなく頬は濡れていく。

要は静かに、その涙を掬うようにキスをした。


「ば……かじゃない……」


「泣くのをみてみたい」だなんて。


「……見世物なんかじゃ、ない……わよ」


わかってる。きっとあなたは、『我慢しないで泣けよ』って意味で言ったんでしょ。


こんな状況がとても恥ずかしくて、消え入るような声で言いながら俯こうとする。
けど、要のすらりとした温かい手はそれを許してくれなくて、また上を向かされてしまう。


「……もちろん。こんな綺麗で可愛い美雪、誰にも見せたくない」


そのあとの2度目のキスで、するりと腰に手を回される。それと同時に自分からも彼を求めるように首に手を回した。
地面に音を上げて落とされたカバンに見向きもせずに、私はただ、要の温もりに包まれた。


――夜なのに、太陽の匂い。


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