私と貴方とあの子と・・・【完】
晴れたある朝。
一限目が空き時間の私は、レポートを仕上げるために大学内にあるカフェテリアへ来ていた。
昼には人で溢れるこの場所だが、午前中・・・しかも講義中となれば人は少ない。
ガラスに囲まれたカフェテリアは、太陽に照らされて温かい空間となっている。
朝・ポカポカ・静か・・・
私は眠りそうになる頭をブルブル振って、意識を目の前の資料に移す。
すると・・・目の前に人の気配を感じて、私は顔を上げた。
「おはよう。桃花・・・一限目空き?」
それは最近見かけると話掛けてくれる様になった香坂君。
「おはよう。今日は休講なんだ。香坂君こそどうしたの?」
私が問えば、香坂君は笑顔で「外から桃花が見えたから」と・・・
特に面白くも個性も無い私を『見えたから』という理由で来てくれる香坂君は私の何に興味があるのだろう?
香坂君はそんなに暇だとも友達が居ないとも考えられない。
しかし当たり前のように私のところに来て話しかける。
もしかしたら友達くらいには思ってくれているのかもしれない。
私は、以前彼に会った事がある事も忘れていて思い出せない酷い奴なのに・・・
それでも友達だと思って貰えてるならとても有難い事だ。
「隣座っていい?」
香坂君が私の隣の席を指さして言うので、
私は隣の席を少し引きながら「どうぞ」と言う。
香坂君は私の了承に軽く微笑みながら、目の前から横へ移動してきた。
椅子に座ると、横から私の資料を覗き見ていた。