私と貴方とあの子と・・・【完】
「ってか、桃花と香坂君知り合いだったんだ?」
ビックリした顔で、私と郁を交互に見ながら言う楓に、
「まあね」なんて軽く答えた私。
そういえば、今まで大学の中で郁と私が話す時は私が一人で居る時だった。
「教えてくれれば良かったのに!
あ・・香坂君、桃花の友達の私藤野楓です!
よろしくね」
愛想良く郁に自己紹介する楓。
人が好印象を持つような社交的な楓を見て羨ましく思う。
そういえば・・・私は郁に自己紹介した事無かった。
・・・あれ?でも、郁は私の名前知ってたし・・・
それに甘えて自己紹介しなかったなんて失礼なんじゃないだろうか・・・
しかし今更な気もするし・・・
郁に対して失礼すぎる私に対して、楓は郁に好印象を与えただろう。
「香坂君って、凄いモテるよね!ゼミの友達も香坂君を話題にして盛り上がってたよ」
「そうかな?仲良くしてくれる友達は居るけど、そういうのはあまり考えないから・・・」
少し苦笑いをする郁だが、
『勿体ないな~私なら大奥並みに囲うのに』なんて茶化した様に言う楓に吹き出した。
「藤野さん、それはやりすぎ」
自分の言葉に笑う郁に、楓も嬉しいようで一緒になって笑っている。
なんだろう。ズキズキする。