私と貴方とあの子と・・・【完】
「桃花~おはよ。朝から怠いよね~」
私の座った席の隣に座ったのは、
大学になってから友達になった藤野 楓(ふじの かえで)だ。
彼女はオシャレにも気を使っていて、
流行に敏感な今時の女子学生という感じの子だ。
そんな楓と話すようになったのは、
初めて隣の席に座った時、何気なしに「他に何の講義出てる?」なんて会話をしたのがキッカケだった。
選択している講義がいくつか被っていたので、
同じ講義の時は隣に座るのが当たり前になった。
「何か疲れてる?」
席に座った途端うつ伏せた楓。
「うーん。昨日遅くまでバイトだった~」
なるほど。
カラオケ店でバイトをしている楓。
どうやらバイトで睡眠時間が削られたらしい。
「私のノート後で見せるよ」
私の言葉をちゃんと聞いているのか居ないのか・・・
楓は「へーい」と片手を上げながら言うと、眠りの世界へ旅立っていった。
私はそんな楓を見て深い息を吐くと、講義で使う教科書とノートを準備した。