私と貴方とあの子と・・・【完】
4限目
講義が終わり、適当に時間を潰してやってきた夜7時。
楓と古風な居酒屋のドアを開ければ、ガヤガヤと人の声が響く店内。
その中で、団体用の座敷がある襖を開ければ、一層騒がしくなる声。
その中心は、今日私たちを誘ってくれた風間君で。
襖を開けて中を覗いた私たちを見て、
「おお!桃花ちゃん、楓ちゃん!」
と呼んだ。
風間君に肩を組まれて遠い目をしている郁は、
風間君の声に顔を上げこちらを見た。
・・・それにしても・・・
団体席を埋めてしまう人数の学生・・・
そんなに広くない部屋にしても3・40人くらい居るんじゃないかと思う。
今日の今日で、こんな人数を集めてしまう風間君の人脈に感心する。
または・・・
「香坂君、こっち座ってよ~」
「香坂君、私の隣空いてるよ!」
ダシに使った郁の人気威力か・・・
もう始まりそうな飲み会に自然と入り込み、奥の席へ行く楓を追おうとしたが、
入り口付近端の席が空いているのを見つけてそこへ座った。
意気込んで飲み会に参加してみたものの、初めての事だし大人しく皆の様子を見ていたい。
もしもの時は直ぐに抜け出せそうな席だ。