私と貴方とあの子と・・・【完】
気づいてしまった事にハッとして、思考を飲み会の席に戻す。
相変わらず騒がしい席に、
皆色々な人と話したいらしく席を立っては空いている席に座る。
「ちょっと出掛けまーす」
私の隣の人もそんな事を言って席を立った。
「ねえねえ、鮎川さんはサークル入ってる?」
目の前の男女が私に話を振ってくれて、『私は・・・』と声を上げたところで、隣にドカッと座る人。
肩が触れるくらい近くに座った事に驚いて隣を見ると・・・
「おー香坂だ」
私の近すぎる隣に座った郁は、挨拶の様にコクッと目の前の二人に頭を下げると、私の顔を覗き込んだ。
「・・・郁?」
好きだと自覚した今、好きな人に見られると言うのは中々キツイ。
胸のドキドキや顔のほてりが半端ないのだ。
「桃の隣じゃないと俺駄目だ。居心地悪いし・・・安心できないし・・・」
そんな事をすねた顔で言う郁に吹き出してしまう。
郁も同じこと思ってくれてたんだ。
「ってか男に愛想よくしてるとムカつく・・・」
「え?」
キョトンとしてしまう私に郁は構わずジッと見てくる。
いつもはカフェテリアで隣の席に座り静かにしている郁。
しかし今は、必要以上に寄ってくるし見てくるし、喋るし・・・
どう反応していいかわからない。